この記事を書いた人

CHIHIRO ITO_chakuso-media chief Information officer
クリエイティブと日々向き合うディレクター。
デザインの全てに意味を持たせてアウトプットすることが得意。クリエイターだからこその目線で記事を書いています。。
好きな食べ物は、激辛料理。常に刺激を求めてます。
多様性の表現が新たな広告のカギ!?
美の概念が大きく変化しつつある中、コスメブランド「シュウ ウエムラ」と人気タレントの渡辺直美さんによるコラボレーション第2弾が、日本の美容業界に新たな風を吹き込んだと話題になったのが、こちらの広告。
この広告は、とても革新的で、私にはとても価値あるもの、そして良い議論を起こした広告だと感じました。なぜかというと、この広告は単なる商品宣伝を超えて、私たちの社会が抱える美の概念や身体表現に関する根深い問題に真正面から挑戦していると感じたからです。
広告を紐解く
まず、この広告の最大の功績は、多様な体型の美しさを堂々と表現したことにあると感じています。
渡辺直美さんの豊満な体を全面に押し出したビジュアルは、長い間、画一的な美の基準に縛られてきた日本の美容業界に、新鮮な風を吹き込んでいると思いませんか?
これは単なる話題作りではなく、私たちが当たり前に持ってしまった社会の価値観を、根本から問い直すきっかけを与えようとしてくれているのではと私は考えています。
確かに、この広告に対しては賛否両論があります。
「下品」「生々しい」という批判の声もあがっていますが、そもそも「下品」とは何でしょうか? 「生々しい」とはどういう状態を指すのでしょうか?
広告配信とともにネット内で上がっていたこの反応こそ、私たちの社会が無意識のうちに抱えていた偏見や固定観念を露呈させているのではないでしょうか。
多様性を広告で表現するということ
私は、この広告が「下品」でも「生々しい」でもないと考えています。
むしろ、力強く、美しく、そして、誠実です。渡辺直美さんの体を通じて表現されているのは、ありのままの姿であり、その中に潜む美しさです。
これまで美の象徴とされてきた画一的な体型ではなく、個性豊かな身体を美の表現として用いることは、むしろ真摯で勇気ある表現だと思うのです。
いろんな声が上がっていましたが、この広告は女性の自尊心を貶めるものではなく、むしろ高めるものだと私は思っています。
なぜなら、「あなたのありのままの姿が美しい」というメッセージを強く発信しているからです。
この広告は、これまで美の基準から外れていると感じていた多くの女性たちに、自信と勇気を与える力を持っていると私は考えたいです。
広告を超えた芸術
さらに、この広告の芸術性も見逃せません。
アートディレクターの吉田ユニさんの手腕は素晴らしく、渡辺さんの体を美しく、そして斬新な方法で表現することに成功しました。
単なる商業広告を超え、一つの芸術作品を完成させたと言っても良いのではないでしょうか。
40年前の沢田研二さんのPARCO広告が物議を醸しながらも、結果として表現の自由を広げたように、この広告も将来的には日本の美意識を大きく変える転換点として評価されるのではないかと私は考えます。
これからの広告と多様な表現
私たちは、広告を単なる話題作りや挑発的な試みとして片付けるのではなく、社会の価値観を更新する重要な契機としても、捉えるべきであり、それも含め一つのクリエイティブなのではないかと考えています。今回の広告でいうと、まさに、多様性を認め、個々の魅力を尊重する社会への第一歩、と言えるのです。
渡辺直美さん自身が「私にしか表現出来ないスタイル」と自信を持って語っていることも今回の表現が評価されるべきポイントの一つだと思います。
自分の個性を肯定し、それを武器として活用する姿勢を発信したこの広告が、多くの人のに勇気を与えるものとして目に留まっているのではないかと期待したいです。