目的重視のクリエイティブ、広告の社会的責任と可能性とは
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CHIHIRO ITO_chakuso-media chief Information officer
クリエイティブと日々向き合うディレクター。
デザインの全てに意味を持たせてアウトプットすることが得意。クリエイターだからこその目線で記事を書いています。。
好きな食べ物は、激辛料理。常に刺激を求めてます。
目的重視のクリエイティブとは
広告やクリエイティブは商品を宣伝するためだけのものではなく、「目的を持った創造」として、最近注目を浴びるようになってきています。
そして、この流れは海外ではさらに加速しており、「広告」や「クリエイティブ」の概念を見直すきっかけにもなっており、そんなきっかけを私からも発信ができるよう、今日は海外で実際に作成されたクリエイティブを紹介しながら考えていきたいと思います。
広告概要
「Corona×Parley for the Oceans:海洋プラスチック問題に挑む革新的キャンペーン」
このキャンペーンは、ビールブランドのCoronaと海洋環境保護団体Parley for the Oceansのパートナーシップによって実施されました。主な目的は、海洋プラスチック汚染問題に対する認識を高め、具体的な解決策を提示することです。
キャンペーンの特徴:
- 目的重視:単なる製品宣伝ではなく、社会問題解決を主眼に置いています。
- パートナーシップ:企業とNPOの協力により、専門性と影響力を結集しています。
- 環境問題への取り組み:海洋プラスチック汚染という喫緊の課題に焦点を当てています。
- 視覚的インパクト:おそらく、海洋プラスチックを使用したアート作品や、汚染の実態を示す強烈な画像を用いていると推測されます。
- 行動喚起:消費者に対し、プラスチック使用削減や海洋保護活動への参加を促しています。
このキャンペーンは、ブランドの社会的責任を示すと同時に、消費者の環境意識を高め、実際の行動変容を促すことを期待し作成されたことで注目を集めました。
目的重視クリエイティブの3つの特徴
共感
不確実な時代だからこそ、人々は共感や連帯を求めています。
広告は、ブランドや商品と消費者をつなぐ重要な接点となります。単なる商業的なメッセージではなく、人間の感情や経験に訴えかける内容を提供することで、目的がより明確に伝わるようになります。
例えば、パンデミック中に多くのブランドが行った「Stay Home」キャンペーンは、社会的な要請に応えつつ、ブランドが発信する内容への「共感」を作る広告は、共感をキーに成功した広告の一つとも考えられます。
社会にポジティブな変化をもたらす
次に、「社会にポジティブな変化をもたらす」という点は特について考えます。
この広告は、環境問題という社会的課題に取り組むことで、ブランドは単なる商品提供者を超えて、社会的責任を果たす主体となりました。これは、消費者の信頼を獲得し、ブランドの価値を高める効果的な方法と考えられます。
社会的コミットメント
さらに、屋外広告の重要性についての指摘も考えたいと思います。
デジタル広告が主流となる中で、屋外広告は「スキップできない」という独特の特性を持っています。この特性を活かし、ブランドの存在意義(「なぜ」)を強く訴えかけることができます。
例えば、SDGsに関連したメッセージを大きく掲げることで、ブランドの社会的コミットメントを効果的に伝えることができると考えます。
広告を通して社会的責任を果たす
「目的を持った創造」を追求することは、広告クリエイターたちのより深い満足感の追求にもつながるのではないでしょうか。なぜなら、社会にポジティブな影響を与えることができるという使命感は、クリエイティブな仕事への新たなモチベーションとなると考えるからです。
もちろん、このアプローチには課題もあり、「社会的責任」や「ポジティブな変化」を強調しすぎると、逆に消費者から良い反応を頂けないというリスクもあります。ブランドの主張と実際の行動が一致していないと感じられれば、かえって信頼を損なう可能性もあります。
そのため、広告メッセージと企業の実際の取り組みの整合性を保つことが極めて重要となるのです。
また、社会的な問題を扱う際には、細心の注意が必要です。特に政治的に敏感なトピックについては、一部の消費者の反感を買う可能性も十分にあります。ブランドは自社の価値観と消費者のニーズのバランスを慎重に取る必要があり、このような広告を取り扱う際には気をつけなければならないことを忘れてはいけないと改めて感じました。
最後に
「目的を持った創造」という考え方は、現代の広告業界に新たな可能性を開くものだと私は考えます。不確実な時代だからこそ、広告は単なる商業的なツールを超えて、社会的な価値を創造する媒体となる可能性があり、これは、ブランドと消費者、そして社会全体にとって win-win の関係を築く機会となるのではないでしょうか。それだけではなく、常に消費者の声に耳を傾け、社会のニーズに応える柔軟性も重要です。
「目的を持った創造」を通じて、広告は単なる商業的なメッセージの発信者から、社会のポジティブな変化を促進する触媒へと進化する可能性を秘めていると考えます。
この可能性を最大限に活かすことができれば、広告は business の成功と社会の発展を両立させる力強いツールとなっていくことに期待したいです。